リテールコムのBluetoothポータブルスピーカー「BIT-STB2819」を試す

※本レビューはソニ☆モバからの転載です。

「BIT-STB2819」とは

音響にこだわった設計を考慮しつつ、コンパクトでスタイリッシュなデザインと、軽量で持ち運びに優れた高性能Bluetooth対応スピーカーが特徴の同機。注目は同機販売の目的が「Bluetoothのスピーカー利用の普及と認知」にあり、そのために余剰なコスト・利幅を最大限に削ることで5,980円というリーズナブルな価格で提供されたこと(5,980円は初回の限定500台で現在は6.980円となってます)。

Bluetooth対応ポータブルスピーカー A2DP・AVRCP・ワンセグ音声SCMS-T・ソニー”NW-A820シリーズ”対応 Wireless Speaker BIT-STB2819(Amazon)

Bluetooth関連製品は比較的高価という印象がある中、この価格での提供はすごいです。ソニーのBluetooth製品では、Bluetoothスピーカーのラインナップを見ても1万円を切るものはありませんし、ヘッドホンにしてもこれよりも安いものはありません。ウォークマン専用のトランスミッター(NWB1)の実売と近いですかね。

パッケージと中身

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前置きはこの辺にして、実機を見てみることにしましょう。低価格でも高音質が売りの同機だけにパッケージも簡素…かと思いきや、意外にしっかりしてます。紙製ながらもパッケージデザインにもちゃんとこだわってます。中身はスピーカー本体とACアダプタ、USBケーブル(ノーマル←→miniB)、取説のみ。

本体デザイン

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本体は四角柱のシンプルデザイン。サイズは幅160 ㎜ x 奥行48mm x 高さ48mm。側面にはフルレンジ2Wのスピーカーを2個搭載。対応電源はACアダプタと単3乾電池×4本の2つ。本体重量は約180gですので、単3乾電池駆動時は約300g程度になりますが、それでも十分軽いです。背面にはACアダプタ用のUSB端子(miniB)、ラインイン端子、主電源が用意されています。

上面には、操作に必要な各種ボタンがありますが、これがLED仕込みのタッチ式。なかなかのこだわりです。底面のカバーを外すと乾電池スロットにアクセスできます。カバーはネジで固定されるのでかなり強力です。また、底面にはちゃんととゴム足が4つ用意されてます。

ちなみに、ACアダプタは専用と明記されてますが、ポータブルオーディオ用のACアダプタ同様、USBケーブルを使うタイプ。出力は5V。使用時に「ジー」という音がするのが少々気になりますが、汎用性を考えたら付属するだけでもお得といえそうです。

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スピーカー単体の画像だとサイズが実感できないと思いますが、ウォークマンやiPodと一緒の画像を見ていただければ、そのコンパクトさが多少は伝わりますかね…。

ペアリング

なには無くともペアリングということで、ウォークマンA829とのヘアリングを試してみます。手順は簡単。STB2819の主電源を入れると自動的にペアリングモードになりますので、ウォークマンA829側からBluetoothメニューのペアリングを選択。機器検索で「STB2819」が現れるのでそれを選択。パスキー入力で「0000」を入力すればペアリング完了。

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参考までに、スピーカーの一連の動作は天面中央上側のLEDで確認できます。ペアリングモード時は青と赤の点滅、Bluetooth接続時は青の点滅、ライン入力時は青の点灯、です。個人的に、Bluetooth接続時の青の点滅が少々目にうるさいように思いました。次作があるのであれば、是非ともA829ライクに緩やかな点滅にしてください>リテールコム社様。

コントロール

STB2819はAVRCP対応なのでA829の再生・ポーズ、曲送り・曲戻しのみスピーカー側からコントロール可能です。再生とポーズは天面中央下側のボタンを軽くタッチするだけ。その左右にあるスピーカーアイコンボタンに、スピーカーボリュームと曲送り・曲戻しを兼ねた機能が割り当てられています。軽くタッチでボリューム、長押し(数秒)で曲送り/戻しとなってます。なお、これらの操作時に天面中央上側のLEDが一瞬だけ赤く点灯します。また、スピーカー側からのフォルダ送り・戻しと、A829側からのスピーカーボリューム操作はできないようです。

それと、天面中央下側のボタンの長押しでスピーカーの電源を落とせます。反対に、電源オフの状態で同ボタンを長押しすると電源をオンにできます。どうやら、主電源はペアリング時にのみ使うっぽいです。ちなみに、電源オフ時には「ポピッ」、オフ時に「ピポッ」とアラームが鳴ります。

ということで、音源となるBluetooth機器とのペアリングが済んでしまえば、後の運用はとってもラクチン。A829のクイック接続を有効にした場合は特にラク。スピーカーの電源を入れたら、A829のBluetoothボタンを押すだけですから…。

音質について

肝心の音質についてですが、個人的に最も驚いたのがこのスピーカーから出てくる音なんです。音の良さみたいなものは、人それぞれで、主観的なものなのであくまで個人的な評価ですが、小さなボディからは想像できない音量もさることながら、出てくる音全体のバランスが良いと感じました。フルレンジ、2ワットのスピーカーが2つだけですが、筒状の筐体がウーファー代わりになるのでしょうね。サイズの割に低音も豊かです。

また、Rolly同様、側面のスピーカーが横向きで、バッフル効果が期待できることも大きいのでしょう。置き場所によって音の表情が変わるんです。手でもって浮かせてみたり、壁をしょわせたりみたりするだけでも変わります。机の上でSTB2819と正対して、Rollyのアームよろしく、自分の手を両端のスピーカーに添えてみると、後方へ逃げる音が前に出てきて定位がくっきり。こうした効果を意図的に作るために工作してみるのも面白そう。今度、DIYショップに足を運んでみようっと。

バッテリー性能

それと驚きなのがバッテリーの保ち。スピーカーが手元に届いた日、つまり6/20からeneloopを入れて、毎日何時間も使ってきましたが、本日、6/29にようやくバッテリーが切れました。かなり使い込んでいるeneloopを使用してこの結果ですから、バッテリーの保ちは優秀と判断して良いのではないでしょうか。ちなみに、バッテリー切れの警告は、LEDの「青、青、青、赤」という点滅ローテーションと、そのローテーション2回に1回の割合で鳴る「ポーン」というアラーム。そのまま放置しておいたらスピーカーの電源が落ちました。

実は取説にもリテールコムのWebにも乾電池駆動時の目安が掲載されていないのですよ。このスピーカーのリリースをお知らせいただいたご担当の方にメールで質問してみたところ、「中程度の音量、且つアルカリ電池使用の状況下で約20時間の連続再生時間となっております」との回答をいただきました。なるほど、20時間の連続再生なら、一日数時間使ってもこまめに電源落とせば長持ちするのも当然っすね。

電源絡みでこのスピーカーが優れものだと思う点は他にもあります。Rolly同様、USBケーブルのみでPCなどから電源を確保できるんです。Bluetooth内蔵ノートPCとの相性が抜群。電池無しでPC内の音楽などを再生できます。スピーカーユニットが左右にあるので、ノートPCの真裏にスピーカーを置ける点にも注目したいところ。ノートPC本体による音の干渉はありますが、逆にそれが面白い音場を作ってくれたりするんですよね。LEDの点滅が視界に入らないのも良いです。

Rollyとの比較

Rollyが比較対象として正しいのかは疑問ですが、Bluetoothスピーカーとしての側面だけで語るなら、個人的にはコストパフォーマンスの高さを含め、STB2819に軍配を上げます。AVRCPで出来ることはRollyの方が上ですが、出てくる音のバランスはSTB2819が上かなあと。Rollyは低音が苦手な分、音に硬さを感じるんですよね。STB2819は低音が鳴るので音全体がマイルドになる分、聞きやすくなるのかもしれません。

Bluetooth機器との接続

それから、ウォークマン以外のBluetooth機器との接続についてですが、iPod+ソニーのBTドングル(!)、au「W54T」、バイオ「type T」どれも問題なし。SCMS-T対応なのでW54Tのワンセグ音声も再生できます。

ライン入力について

また、ライン入力も試しましたが、音質はBluetooth接続時と比べて大差ないです。でもライン入力は便利ですね。CDウォークマンやラジオ、素のiPod、PSPなどのゲーム機、有機ELテレビ、なんでも繋げます。あると無いとでは大違い。

他のポータブルスピーカーと比較

しかも、軽量小型なので持ち運びがとにかくラク。手持ちのポータブルスピーカーと比較してみましたが、電池込みの重量ならびに羽を広げたRollyとサイズもどっこいどっこい。体積ではオンキヨーWAVIOの約半分。宅内だけでなく、出先へも気軽に持ち歩けるスペックなのがうれしいっす。

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改善して欲しいと思う点や要望

褒めてばかりではなんですので、個人的に改善して欲しいと思う点や要望などを最後に箇条書きで。

  • Web、取説含め、全体的に情報不足
  • LEDの明滅にもう一工夫を
  • 電池カバーをもっと取り外しやすく(固定ネジが頑丈すぎ)
  • 充電式ニッケル水素電池の充電機能追加(USBケーブル接続時)
  • AVRCPのグループ送り/戻し、ボリューム操作への対応(=操作系のブラッシュアップ)
  • 携帯電話のハンズフリーへの対応(W54Tとペアリングしたら「HFP」も表示された!)
  • カラバリ展開(ブラック1色のみだと女性への訴求が厳しいかも)

ということで、長々と書いてきましたが、総論としてはとにかく大満足。Bluetoothオーディオ機器に興味のある方なら是非とも一台確保して欲しいと思いました。今でこそ6,980円になってしまいましたが、それでも十分コストパフォーマンス高いと思いますよ!

最後の最後ですが、この製品のリリースをお知らせくださっただけでなく、自分のつまらない質問に丁寧に回答くださったリテールコム社のご担当者さんにこの場を借りて御礼申し上げます。

AORやACと相性が良いBluetoothスピーカー「BIT-STB2819」

(2010年8月9日に追加執筆したものです)

音楽をミニマムなオーディオで楽しむことが多くなった昨今。個人的に最も使用頻度が高いのが持ち運べるサイズのモバイルBluetoothスピーカー。ウォークマンはもちろんiPod/iPhone/iPadで、内蔵・ドングル問わずバリバリ活用中なのは皆さんご存じの通りかと思います。でもって自分がAOR(AC込み)というジャンルが好きなことも皆さん十分ご承知のことと思います。AORやACって何?という人はこちらをご参照下さい>AOR – Wikipedia

最近では数日前につぶやいた角松敏生の新譜が和製AOR/AC系の代名詞のような音楽に相当するわけですが、彼の音楽って昔からサウンドメイクが派手じゃないですか。名うてのスタジオミュージシャンを起用して、これでもかってクオリティで攻めてくる。エンジニアも色んな意味でがんばる。自ずと最終的にメディアのクオリティも上がるみたいな。

音楽的には、きらびやかなシンセやギターとは対照的に、ボトムを支えるドラムスとベースが刻む重量感あふれるビート。スネアやチョッパーベースのキレ。そんなものが非常に大事。今回のアルバムにしても、4リズムと言いつつ、上から下まで、実にバランス良く色んな音がミックスされています。とまあそんな感じなんで、彼の音楽の根っこを支える低音がちゃんと鳴らないとつまらないわけです。

で、ここ数日色々ととっかえひっかえ手持ちのBluetoothスピーカーを試してみたのですが、やっぱリテールコムの「BIT-STB2819」っすね。同社の2825やソニーRollyではどうしてもバスドラやベースの低音がでないんですが、2819は不思議とそこそこ鳴るんです。そりゃ、ZiiSound D5のような大型のスピーカーのような低音は望むべくも無いですよ。それでも全く低音が聞こえてこないRollyよりは確実に聞きやすい。あれはなんなんだろう、単3電池4本の重量感と筐体の構造の偶然のなせる技なんだろうか。やっぱこのスピーカーの潜在能力はすごいと思います。

面白いと思ったのがiPadとの組合せ。XEL-1のリモコンスタンドをスタンド代わりにして、その前に2819を置いて音楽再生すると、iPad本体が壁になって音が前に反射してすごく聞きやすくなるんですよね。これもある種のバッフル効果なんでしょうかね。何より見た目もいいじゃないですか~。iPadはバッテリーの保ちが素晴らしいので、同じくバッテリーライフが長い2819と相性ぴったり。今はこの組合せが一番好きです。

ということで、ことあるごとにお薦めしてますが、Bluetooth関連の機器オーナーでAORやACが好きな方は是非!ちなみに価格はいまだに5,480円です。CPバツグンです>STB2819(Amazon)

ちなみに、Perfume当たりのテクノ楽曲との相性もかなり良いです。高音も耳障りが悪いようなことはなく、非常にバランス良く鳴ってくれますよ~。

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