【レビュー】安定性と柔軟性に優れたApple純正完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」徹底レビュー

コンピュータ

Bluetooth Music Labo主宰のエスパ水澤です。こちらでレビューを公開するのはかなり久しぶりです。リハビリの一環ではありますが、個人的に今最も興味のある完全ワイヤレスイヤホンの最先端を行くApple AirPodsのレビューを仕事の合間にコツコツとしたためましたのでよかったら読んでやってください。

さて、汎用性のある完全ワイヤレスイヤホンの元祖は、スウェーデンに拠点を置くEarin社が2014年6月に米国のクラウドファンディングサービス「Kickstarter」で完全ワイヤレスイヤホン「Earin」プロジェクトでしょう。目標額の5倍以上の約97万ポンドの資金を集めるビッグプロジェクトになり、2015年年末に日本でも正式に発売が開始されました。(RAKUNEW.comのレビューは自分が書いています)

その後も、クラウドファンディングで完全ワイヤレスイヤホンのプロジェクトが激増。The Dash、Dot、Apollo7、Phazonといった著名なプロジェクトが続々始まり、大きな注目を集めてきました。日本でもEarinに続き、fFlat5「Aria One」、ERATO「Apollo7」、ONKYO「W800BT」、SOL REPUBLIC「AMPS Air」などが2016年中に発売されました。

さらに、16年9月に発表されたiPhone 7シリーズでのイヤホンジャック廃止はワイヤレスオーディオ製品に脚光が集まる大きなきっかけとなりましたが、アップルは満を辞してそこに新たなワイヤレスオーディオソリューションとして「AirPods」を提案してきました。

AirPodsは、Apple純正品で初めてのワイヤレス(Bluetooth)対応のオーディオ製品になります。イヤホン本体のデザインはiPhoneに付属するEarPodsを踏襲していますが、イヤホンの左右がケーブルで繋がらない完全(トゥルー)ワイヤレスイヤホンであることが最大の特徴となっています。

Bluetoothオーディオにありがちなペアリングの煩雑さやデバイスの切り替えトラブル、音の途切れなど、ストレスの原因になる要素を徹底的に研究し、それらを解決するために加速度センサーや光学センサーに加え「W1」という新チップを独自開発。Apple製品同士の場合に限られますが、これまでにないシームレスな利用が可能になっています。

また、1回の充電で5時間の音楽再生が可能。他者の完全ワイヤレスイヤホンが2時間前後の再生時間なので5時間は驚異的と言えます。充電ケースの併用で24時間以上、15分で3時間の駆動時間が確保できる性能にも注目です。

当初は16年秋の発売予定でしたが延期され、発売時期未定が続いていた中、突如国内で12/13に予約発売が開始されました。いち早くオーダーできた人は納期が12月19日だったようですが、販売を開始した翌日には納期が4週になり、2017年1月9日現在の納期は6週とその人気のほどが伺えます。

当サイト主宰者も販売開始翌日朝のオーダー組で当初は1/15頃の出荷になっていましたが、なぜか12/29に出荷通知が来て12/31に到着しました。その後、約1ヶ月ほどじっくり使い込んでみましたが、特にアップル製品と組み合わせた場合の使い勝手は素晴らしく、新たなワイヤレスオーディオの可能性を感じさせてくれています。

ということで、AirPodsの何がどうすごいのか、他のワイヤレスオーディオ製品との決定的な違いはどこにあるのかを探っていきたいと思います。

AirPodsの基本仕様

AirPodsはBluetoothを採用したワイヤレスイヤホンで、同じくBluetooth採用のiPhoneのようなスマートフォンやiPadのようなタブレット、iPodのようなオーディオプレイヤーなどと組みわせて使うのが前提となります。

  • 同梱物:AirPods、充電ケース、Lightning – USBケーブル
  • 重量:AirPods(左右各):4g、充電ケース : 38g
  • サイズ:AirPods(左右各):16.5×18.0×40.5mm、充電ケース:44.3×21.3×53.5mm
  • 接続:AirPods:Bluetooth、充電ケース:Lightningコネクタ
  • AirPodsセンサー(左右各):デュアルビームフォーミングマイクロフォン、デュアル光学センサー、動きを感知する加速度センサー、音声を感知する加速度センサー

AirPodsの対応ハード

Bluetooth搭載のスマートフォン、タブレット、オーディオプレイヤー、PC、ゲーム機等で利用可能ですが、Apple推奨のデバイスは、

となっています。いずれも最新のOSを採用したAppleのプロダクツで、条件を満たしたデバイスが複数ある場合に、ペアリング情報などの共有化やストレスのない接続の乗り換えなどが可能になります。

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AirPods本体外観

AirPodsのパッケージ

AirPods本体

本体のデザインはiPhone等に標準で付属するEarPodsのそれを踏襲しているようです。

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有線か無線かは言わずもがなですが、センサーの有無とダクト(パイプ)部の系の違いが目を引きます。AirPodsのダクトの先端、銀色の部分がマイク兼、充電端子となっています。

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センサーは、デュアル光学センサー、動きを感知する加速度センサー、音声を感知する加速度センサーがありますが、耳の内部に入る方が光学センサー。

充電ケース本体

付属のLightningケーブル(iPhone付属のものや市販の純正ケーブルでも可)で内蔵バッテリーの充電が可能です。

参考までに完全ワイヤレスイヤホンの先駆者Earinとの比較画像です。

基本的な使い方

ペアリング

Apple推奨デバイスと組み合わせる場合

デバイスのBluetoothをあらかじめ有効にしておきます。ここではiPhone 7 Plusを例にとって説明します。

  1. 充電ケースのふたを開けると、デバイスのホーム画面の中程から下にAirPodsの画像と「接続」ボタンが表示されます。Apple推奨デバイスが複数ある場合は同様の画面がすべてのデバイスで表示されます(一部除く)。
  2. 接続したいデバイスに表示されている「接続」ボタンをタップします。
  3. ペアリングが完了すると画面が切り替わり、AirPodsに所有者の名前が自動的に付与され、接続したAirPodsと充電ケースのバッテリー残量、「完了」ボタンが表示されます。
  4. 手持ちのApple製品が複数ある場合でも、初回のデバイスとのペアリング情報が共有されるため、いちいちペアリングする必要はありません。音声出力の切り替えについては「iCloud連携」の項目で後述します。

ペアリング完了後は、iPhoneのステータスバーにヘッドホンアイコンが追加されます。ちなみに、このアイコンは他のBluetoothオーディオ製品と接続された際も表示されますが、ヘッドホンアイコンが表示されるのはマイク付きのオーディオ製品のみで、マイクが無い製品の場合は標準のBluetooth(B記号)アイコンになります。

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Appleデバイス以外を組み合わせる場合

  1. AirPodsが専用ケースに入った状態からフタを開けます。
  2. ケースの背面にある設定ボタンを長押しして、ステータスランプが白く点滅するまで押し続けます。
  3. Bluetoothデバイスを設定する手順に沿って設定します。

参考までに、Dream Seedさん経由の情報ですが、Androidデバイスとペアリングした場合、以下のような挙動になるそうです。

  • ケースに入れた状態で蓋を開くと電源ON、ケースに入れて蓋を閉じると電源OFF
  • 耳から外すと再生が止まる機能は使えない
  • ダブルタップすると再生/停止
  • 先にiPhoneとペアリングした後にAndroidとペアリングすると、iPhoneとは接続しなくなるが、ケースを開けたときにiPhone側でバッテリー残量は表示する。

AirPodsを設定できない場合

AirPodsをiPhoneに設定しようとしても設定アニメーションが表示されない場合は、以下の手順で対処します。

  1. AirPodsが充電されていることを確認します。
  2. フタを閉じて、15秒ほど待ってからフタを開けます。ステータスランプが白く点滅します。
  3. 白く点滅しない場合は、ケースの背面にある設定ボタンをステータスランプが白く点滅するまで押し続けます。

それでもAirPodsを設定できない場合は、設定ボタンを15秒以上、ステータスランプがオレンジ色に数回点滅してから、白く点滅するまで押し続けます。

基本操作(Apple推奨デバイスの場合)

AirPodsは単体でできることは限られており、基本的にはペアリング済みのデバイス側から操作を行いますが、一部のデバイスと組み合わせると様々な操作が可能になります。

電源オン

  • ケースのふたを開け、イヤホン本体を取り出すと自動的に電源が入ります。耳に装着するとチャイムが鳴り、iPhoneなどと接続したことがわかります。

  • ケースのふたを開け、イヤホン本体を取り出さないでしばらくすると、ペアリング済みのiPhoneにAirPodsのステータスウインドウが表示され、イヤホンとケースのバッテリー残量が確認できます。この状態からAirPods本体を取り出すと自動的に電源が入りiPhoneと接続されます。

  • iPhoneでAirPodsを利用中でも、Apple IDで紐づけられた他のデバイスからAirPodsのバッテリー残量が確認できます。

電源オフ・接続オフ

  • 充電ケースにイヤホンを収納すると自動的にiPhoneとの接続が切れ、電源も落ちます。

  • 装着済みのAirPodsを左右両方外すと一時的にiPhoneとの接続が切れます。接続は切れますが、ペアリング済みのiOSデバイス並びに、同じApple IDで紐づけられたデバイスからもAirPodsは認識されています(BLEで接続していると推測)。

(音楽)再生

1. iPhoneの音楽プレイヤーアプリで再生を開始。(iPhoneを操作)
2. iPhoneとペアリング済みのApple Watchの音楽プレイヤーアプリで再生を開始。(Apple Watchを操作)
3. AirPodsのダブルタップ、またはiPhone、Apple WatchからSiriを呼び出し、音楽プレイヤーの再生を指示する。(ダブルタップの動作を「Siri」に設定していた場合)
4. AirPodsのダブルタップ。(ダブルタップの動作を「再生/一時停止」に設定していた場合)

(一時)停止

1. iPhoneの任意の音楽プレイヤーアプリで再生を停止。(iPhoneを操作)
2. iPhoneとペアリング済みのApple Watchの音楽プレイヤーアプリで再生を停止。(Apple Watchを操作)
3. AirPodsのダブルタップまたはiPhone、Apple WatchからSiriを呼び出し、音楽プレイヤーの停止を指示する。(ダブルタップの動作を「Siri」に設定していた場合)
4. AirPodsのダブルタップ。(ダブルタップの動作を「再生/一時停止」に設定していた場合)
5. 左右どちらかのAirPodsを耳から取り外す。

再生再開

1. iPhoneの任意の音楽プレイヤーアプリで再生再開。(iPhoneを操作)
2. iPhoneとペアリング済みのApple Watchの音楽プレイヤーアプリで再生再開。(Apple Watchを操作)
3. AirPodsのダブルタップまたはiPhone、Apple WatchからSiriを呼び出し、音楽プレイヤーの再開を指示する。
4. AirPodsのダブルタップ。(ダブルタップの動作を「再生/一時停止」に設定していた場合)
5. 再生を一時停止した状態であれば、再度耳にAirPodsを装着すれば自動的に再生再開。(iPhone側で手動で再生を停止した場合は、AirPodsを取り外してから再度装着しても自動的には再生されません。)

バッテリー残量の確認方法

iOSデバイスの場合は、ケース収納時には蓋を開けた時、利用時はバッテリーウィジェット、コントロールセンターの音楽・ビデオ再生、Siri経由で確認できます。当然ですがSiri経由の場合は音声で通知されます。

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バッテリーウィジェットは左右両方のイヤホン装着時は左右の近似値。左右どちらか一方収納時は、左右それぞれと充電ケース、計3つのバッテリー残量を個別に表示します。

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ちなみに、左右のバッテリー残量が大きく異なる場合は、バッテリーウィジェット内で個別に表示されます。

充電ケースの使い方

充電ケースにイヤホンを収納すると自動的に充電が始まります。その際、AirPodsが中に入ったままケースの蓋を開けペアリング済みのiPhoneに近づけて数秒間待つと、AirPodsと充電ケースの充電状況が表示されます。

AirPodsと充電ケースの充電状況は、先述のように、iOSデバイスの「バッテリー」ウィジェットでも確認できます。なお、ケースの充電状況を表示するには最低でも片方のAirPod がケースに入っている必要があります(後述しますが、充電ケース単体で通信機能を持たないためです)。

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充電ケース基本スペックのおさらい

  • AirPodsは1回の充電で最大 5 時間の再生または2時間の連続通話が可能。ケースで充電すれば、24時間以上の再生または最大11時間の連続通話が可能。
  • AirPodsをケースに入れて15分間充電するだけで、最大3時間の再生または1時間以上の連続通話が可能。
  • 充電ケースの内蔵バッテリー容量は398mAh(蓋の裏に記載があります)。

ケース内部のステータスランプは、AirPodsがケースに入っている時は、AirPodsの充電状況を示します。入っていない時はケースの充電状況を示します。

緑色は充電が完了したことを、オレンジ色は充電量が1回のフル充電分に満たないことを示します。白く点滅している場合は、AirPodsをデバイスに設定可能であることを示します。

シリアルNoは、蓋の裏面もしくはiPhone等のiOSデバイスの「設定>一般>情報>AirPods」からも確認できます。

充電ケースあってのAirPods、AirPodsあっての充電ケース

iPhone関連の情報サイト「iPhoneマニア」さんの情報ですが、アップル社の特許出願情報から充電ケースの特殊な仕様が明らかになったとのこと。ケースそのものはBluetooth非対応なのですが、開閉検知やペアリングのためのチップが内蔵されているとか。左右どちらか一方が収納された状態のみ内蔵バッテリー残量の確認ができる理由はこれ。実際の通信はイヤホン本体を介してやりとりするようです。以下、注目ポイント。

  • ペアリング処理の進行中、左右のAirPodsは充電ケースとの間で暗号化された通信を行う。このプロセスを経ることで、盗聴される危険性を回避する。
  • 一度ペアリングが完了すれば、AirPodsは同じApple IDにひもづけられたデバイスと接続可能。
  • 左右のAirPodsにはそれぞれメモリーが内蔵されており、Bluetoothの接続情報や固有のMACアドレスなどを記録。これにより、左右それぞれのAirPodsのバッテリー残量の表示
  • AirPodsは、左右のAirPods間でも通信を行なっており、メインとなる側がiPhoneなどと音声信号などをやりとりしてサブ側に引き渡すほか、メイン側が耳から外れたことを検知するとその役割がサブ側に切り替えられる連携プレーが可能。

また、「ふーてんのiPad」さんの情報によると、AirPodsの左右のイヤホンはそれぞれに型番号が付与され技術基準適合証明(技適)を受けているとか。左のイヤホンにはA1722、右のイヤホンにはA1523だそうです。イヤホンの印字が小さすぎてほとんど判別できませんでしたが、写真に撮って拡大してみるとわかりました。

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総務省公表の技術基準適合証明機器検索で、AirPodsの技適通過は9月8日でiPhone7やiPhone7 Plusと同日だったそうです。

また、充電ケースにはA1602の型番こそ付与されていますが、技適は受けていません(マークが確認できない)。ケースのバッテリーステータスは左右のイヤホンをケースから出した状態では表示されませんが、左右どちらかのイヤホンが収納された状態では表示されるため、AirPods本体いずれかとiPhoneとでやりとりがおこなわれていると予測できるようです。

個人的にAirPodsが他の完全ワイヤレスイヤホンより優れていると思うところが、両耳左右ステレオから、片耳のモノラルに切り替える時の振る舞い。これが実によくできているんです。具体的なことは後述しますが、こうした特殊な仕様によりメインとサブの役割の柔軟な切り替えが実現できているであろうことは疑いありません。

AirPodsのバッテリーの保ちについて

AirPods(イヤホン)本体

AirPods本体は1回の充電で最大5時間が公称値ですが、実際に相当保ちます。自分は5時間ぶっ通しで使い続けるようなことはそうそう無いですが、仮に使い切ったとしても15分の充電で3時間使えるようになると考えれば十分な性能と言えるのではないでしょうか。満充電のAirPodsと充電ケースの組み合わせであれば丸一日(24時間)は使えるようですので、通勤通学時にしか使わないなら数日間はバッテリーケースのみで使えることにもなりますね、

使えなくなるところまで試してみましたが、左右のバッテリー残量が1-2%ほどでポコポコとしたアラートが何度か再生され、程なく音楽が鳴らなくなりました。それでもまだAirPodsとのペアリングは解除されていなかったので、色々試してみたところ、右耳側は全く動かないものの左側が動き始めました。この時の残量が8%。それからものの数分ですが片耳だけで利用が可能でした。

AirPodsの動作に関してはわからないことが多いですが、両耳同時に利用して最後の最後にバッテリー残量に差が出ることから、片耳側がもう一方よりもバッテリーを多く消費するような処理を何らか行っていると考えられそうです。

一般的な完全ワイヤレスイヤホンのように左右どちらかがマスターでどちらかがスレーブになり、それれが完全に固定化されているのですが、AirPodsの場合はW1チップのおかげでマスターとスレーブが柔軟に切り替わるのではないかと自分は思っています。そう思う理由は片耳だけで使った時の動作から予測できるのですが、それについては後述していますのでここではひとまず割愛。

ちなみに、完全に放電したAirPods(左右)を充電ケースに入れた場合は、残量85%で満充電になりました。約15%で5時間分なら、24時間以上という数値も信憑性がありますね。

専用充電ケース

充電ケースのバッテリー残量が10%以下になるとAirPods本体への充電をせず、iOSデバイスとの通信を優先するようです。

ケースのバッテリーが0%の場合でも残量の表示は可能でしたが、完全に空っぽになった時にはケースの蓋を開けてもイヤホンとケースの残量が表示できなくなります。

イヤホン本体のバッテリーがある場合は、ケースから本体を取り出せば自動的に電源が入り、機器と接続されます。バッテリーが空っぽのケースにイヤホンを戻した場合も多少時間はかかりますがイヤホンの電源はオフになります。

完全に空っぽから満充電になるまでの時間は、一般的なUSB充電器経由で1時間半から2時間程度。

ちなみに、他のBluetoothオーディオと接続中でもAirPods入りのケースの蓋を開ければ、iOSデバイス経由でバッテリー残量が確認できます。

その他の機能調節

AirPodsの専用ケースの蓋を開けた状態から、ペアリング済みのiOSデバイスの「設定>Bluetooth」より、デバイスリストでAirPodsの横のインフォメーションアイコンをタップすると、登録の解除や名前の変更、ダブルタップ時の反応の選択、自動耳検出のオンオフ、マイクの設定などが可能になります。

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ダブルタップは「Siri」、「再生/一時停止」、「機能オフ」の3つから選択可能。

マイクは「自動」、「常に左」、「常に右」から選択可能。

マイクの性能について

内蔵マイクは電話やLineの通話に使えます。左右両耳の場合、相手の声はセンターから聞こえます。

身内に協力してもらいましたが、Lineは特にクリアで、相手側にもこちらの音声がクリアに聞こえるとのことでした。ちなみに、ダブルタップでSiriを呼び出せますが、一般的な電話の場合、「誰々の携帯電話に電話して」といえば通話は可能ですが、Lineでの通話はSiriだけだとできませんでした。

また、出先で歩きながら使用して見ましたが、相手から何かカチカチ音がすると言われ、原因を探って見たところ、マイクに自分のヒゲが当たっていることに気がつきました。もみあげぐらいであれば干渉しませんが、あごひげがもみあげにつながるぐらいにしている場合に起こるレアケース。冬場にニット帽などをかぶる時も干渉に注意が必要かもしれません。

iCloud連係について

最初にペアリングした機器から他のiOSデバイス、Macへの接続時の挙動について解説します。

動作条件を満たしたiPhone、iPad、Macbook、AppleWatchを所有しており、同一のApple IDでiCloud連係していることが前提となります。

初回にiPhoneとペアリングした場合、他の3つのデバイスでペアリング作業をする必要はありません。iCloudにサインインしている場合は、同じApple IDでiCloudにサインインしている対応デバイス全てにAirPodsが自動的に設定されます。

なお、AirPodsは同時に2台のデバイスの音源を再生はできません。音楽等を再生中であっても、別のデバイスからの接続が優先されるため、別のデバイスと接続されると、元のデバイス側では自動的に音楽再生は停止します。

また、AirPodsは常に最後に接続した出力デバイスと繋がるようになります。出力ソース(デバイス)を切り替えたい場合は、常にデバイス側からAirPodsに接続する必要があります。

また、ダブルタップの動作は接続したデバイスの設定を優先します。(iPhoneではSiri、iPadでは再生/一時停止にしていた場合など)

Apple推奨デバイスに切り替える方法は以下の通り。

iPadの場合

iPadで使いたい場合は、コントロールセンターを開き、AirPodsを選択します。(AirPodsは近くにあり、使える状態の時にだけ表示されます)

Macの場合

Macで使いたい場合は、サウンド環境設定または、メニューバーのスピーカーアイコンをクリックして出力装置より「AirPods」を選択します。(AirPodsは近くにあり、使える状態の時にだけ表示されます)

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Apple Watchの場合

Apple Watchの場合は少々特殊です。AirPodsをiPhone に設定すると、同じiPhoneに紐付けされたApple Watch自動的に接続されます。

iPhoneのソースをAirPodsで再生中なら、Watch側のミュージックアプリで音量調節、再生停止、送り戻し等の基本操作が可能になります。ちなみに、音量調節はデジタルクラウン(リューズ)で行います。

AirPodsでApple Watchの内蔵メモリーにコピーした音楽ファイルの再生も可能ですAirPodsでApple Watchの内蔵メモリーにある音源にしたい場合は、ミュージックアプリから再生するミュージックのソースをiPhoneからAppleWatchに切り替えます(時計アイコンをタップします)。

WatchのコントロールセンターでAirPodsのバッテリー残量 (%) を確認できます。文字盤を上にスワイプ後、バッテリー残量のパーセント値をタップすればAirPodsのバッテリー残量を調べることができます。

左右ステレオの場合も、片方のモノラルでの利用時にも残量は表示されますが、充電ケースのバッテリー残量は表示されません。

音飛びについて

iPhoneとの接続の場合

入手してから2週間以上経ちますが、通勤途中、仕事中、ジム利用中と、かなり頻繁に使ってきましたが、iPhone 7との組み合わせではほとんど途切れることはありませんでした。

iPhoneの位置は上着のポケットだったり、ヒップポケットだったり手持ちだったりと様々ですが、特定の場所に置いて壁を隔てた部屋を移動したりしない限りはまず途切れません。実に安定しています。

これまで、多数の完全ワイヤレスイヤホンを使ってきましたが、最も安定して使えるのがAirPodsです。

Apple Watchの場合

こちらはiPhoneと違って、途切れることがごく稀にありました。再現性が見つけられないことから、Watch側の処理に起因すると考えます。

WatchはiPhoneともBluetoothで頻繁に通信をするので、複数タスクの処理のタイミングによって途切れなどが発生するのはないかと思います。

ちなみに、AirPods本体やApple Watchを手のひらで覆い隠してもほとんど途切れることはありません。

片耳での利用

両耳(ステレオ)でも片耳(モノラル)でも同じ使い勝手で使えるのがAirPodsの優れた点。

充電ケースから左右両方を取り出して両耳に装着すればステレオに、左右どちらか一方だけ取り出して装着すれば音声が自動的にモノラルミックスで出力されます。片耳利用の場合、モノラルではなく、左右のチャンネルが合成されたモノラルミックスになるところがミソです。

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さらに、片耳しか使っていない状態でケースからもう一方のイヤホンを取り出し耳に装着すると自動的にステレオの出力に切り替わります。

アコースティックギターのデュオ演奏など、左右がはっきりしているソースを使って確認できますので、お持ちの方は色々試してみると良いと思います。

このモノラルミックスって意外にすごいことなんです。市販の完全ワイヤレスイヤホンでこれができるものは自分が知っている限りありません。先駆者であるEarinは、片耳での利用は可能ですが、この場合は完全にモノラル出力になります。

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iPhoneなどのiOSデバイスであれば、[設定>一般>アクセシビリティ]でモノラルオーディオを有効にすることで片耳でもモノラルミックスの音声が出力できるようになりますが、アップルのように自動では切り替わりません。

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先述のW1チップ搭載で実現したメインとサブの役割の柔軟な切り替えが実現できているからこそ可能な機能であり、OSから作っているアップルならではの対応だと思います。

参考までに、設定で「自動耳検出」にしていると、両耳で再生中に片耳分をケースに収納した場合は、自動的に再生が一時停止するので、片耳をケース収納後にプレイヤーアプリなどで再生を再開してあげる必要がありますが、自動耳検出をオフにすれば再生が停止することなく、ステレオとモノラルミックスが切り替わります。

AirPodsの使用感

自分の場合はうまくフィットするので直接何かが触れるようなことがなければ外れることはありません。耳を圧迫する要素もないので、長時間使っても疲れないのが良いです。

AirPodsのハウジングは、これまでiPhoneに標準で付属したEarPodsと全く同じサイズなので、耳のフィット感はほぼ同じと考えてよいでしょう。故に、EarPodsが耳にフィットしないという方は、AirPodsもフィットしない可能性がかなり高いです。

自分の場合は、フィット感は上々で裸のままジムで何度も使用しましたが、ドレッドミルで走っている間は一度も耳から外れそうになったことはありません。

危険に感じたのはタオルなので顔の汗を拭く時。タオルがAirPodsに当たって落ちそうになることがありました。ただ、これはAirPodsに限らず、完全ワイヤレスイヤホンの類を使っている時は同様のトラブルに見舞われる可能性が高いので要注意です。

実際はスポーツだけでなく、普段使いの時の方が危ないと感じることは多いです。特に帽子を被っていたりマスクをしている時が危険です。耳まで覆う帽子はイヤホンと干渉しますし、マスクのゴム紐も何かの拍子に引っかかる可能性が高いです。

落下事故やそれに伴う故障や紛失が怖いのであれば、予防措置としてEarPods用のイヤーフィンやジョークとも思えるAirPodsの左右を一つにまとめる専用のストラップなどを使うことになります。

AirPods専用落下防止ストラップを使ってみた

モノは試しということで、Amazonでイヤーフィン付きのAirPods専用ストラップを購入してみました。ストラップはシリコン製で左右のAirPodsの肢の部分(充電器に挿しこむマイクの部分)に輪っかを通してあげるだけの簡単仕様。左右をつなぐことで完全ワイヤレスの意味が無くなってしまいますが、安心・安全度は格段に上がります。

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実際に、自分はEarinをそこそこ混雑した電車の中で落としたことがあります。その時は幸いというか、足元に当たったと進言してくださる方がいたのでことなきを得ましたが、満員電車の中で落下させた場合、見失う可能性が高いのはもちろん、蹴られてあらぬ方向に飛んで行ってしまったり、踏まれて壊れたりという可能性があるので要注意です。

それと市販のEarPod用のイヤーフィンを装着すると、一部のセンサーが効かなくなります。実際に、耳からの取り外しの動作を検知できませんでした。スピーカーグリルを挟んで表裏にある黒い丸がセンサーなので、イヤーフィンの該当部分をハサミなどで開口を作ってあげればセンサーが有効になります。

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また、こうしたストラップやイヤーフィンを装着したままでAirPodsを充電ケースに収納はできませんし、物によってはケーブルの擦れ音などが発生する場合もあるので、そういう前提で運用する必要があります。AirPodsの利便性を損なう行為ではありますが、安全安心とのトレードオフということで選択肢としてはアリだと思います。

余談ですが、自分は地元駅前の広場でEarinの片耳だけ落として無くしかけたことがあります。耳から取り出すつもりが手元が狂って落としてしまい、さらにそれを蹴っ飛ばしてしまう珍事。1時間以上探したのですが深夜で暗いこともあって見つからず、その日は落胆して帰宅しました。翌朝通勤時に、広場でなくしたはずの片耳とiPhoneがBluetooth接続されていることを確認。Class 2の製品なので約10メートルの範囲にあると判断し、しらみつぶしに探したところ無事発見できました。見つかった本体は人に踏まれて傷だらけでしたが、動作は全く問題なく、イヤーピースの交換だけで済みました。当時のEarinは3万円オーバーでしたのでドキドキモノでした。

AirPodsはEarinに比べたらリーズナブルな価格ですが、それでも税込18,000円オーバーですので、なくしたときのショックは計り知れないでしょう。すでにAirPodsをお持ちの方も、これからAirPodsを購入するという方も、くれぐれも落下や紛失にはご注意ください。

音質評価

見た目の通り、EarPodsのワイヤレスバージョンがAirPodsなので、音質の特性はEarPodsと同等と考えて間違いなさそうです。

自分は初代iPod付属のイヤホンを使って以来、純正は使うまじと決め、これまで何度となくiPhoneを買い換えてきたのにEarPodsを使ってこなかったクチです。音質が気にならなかったのはもちろんですが、当時からワイヤレスに興味があったので、自然と有線には興味がなくなっていたこともあります。

それがiPhone 6s時代に何の気なしにEarPods使ってみたのですが、想像していたよりも音が良く衝撃を受けました。最近はずっとコンプライのようなイヤーピースに慣れきっていたので、丸い太めの低音ばかり耳にしていましたが、AirPodsから出てくる音は広がりがあって、低音も芯が太く耳に心地よい。10年以上前に発売されたソニー「EX90SL」のような抜けの良い開放的な音を感じました。

ただ、開放型で遮音性能もなく、音量をあげれば音もダダ漏れで外出時には使えないし、ケーブル絡まるの嫌だしということで結局は普段使いには至らず。

そこにきて今回のAirPods。形からして音楽特性が同じだから、遮音性もなければ音漏れもするであろうことは想像できましたが、それでも購入したのはアップルがワイヤレスオーディオに対して初めて本格的なアプローチを仕掛けてきたから。それを自分の身をもって体験してみたかったからです。

使ってみて感じたのが、短所もシチュエーションによっては長所に変わるということ。AirPodsのような製品はその特性を理解した上で使うと短所と思っていたところが全く気にならなくなりました。

AirPodsに一番しっくりくるのはイージーリスニング。いつでも自然に自分の周りで音楽が鳴っているような、そんな状況を作り出すのがアップル純正のイヤホンと言えるのではないでしょうか。

遮音性がない分、周りの外の音がそこそこ聞こえるので、電車や駅のアナウンスや車両のエンジン音に自然に注意を払うようになります。

人間の聴覚を拡張してくれるというのは大げさですが、様々なシチュエーションで音楽のある生活を簡単に実現してくれるのがAirPodsの良さだと思います。

音楽を聴きながら仕事がOKという職場の場合でも、音量を控えめにすれば周りの音と音楽がミックスされるため、他のメンバーとのコミュニケーションも問題ないですし、音漏れで迷惑にならない程度なら音量をあげて作業にも集中できるはずです。

外の音を一切聞きたくないならAirPodsを選択する余地はありませんし、音漏れが少ない機種もたくさんありますので、音楽に没入したいのであれば他社製を選択すべきです。

自分の使い方は、電車の場合はiPhoneのボリュームが最大で5程度。休日に電車の中で家族に協力してもらったベストな音量です。電車の中ではこれ以上にならないように意識して使います。個人的には物足りない音量ではありますが、うっすら流れているBGMだと思うと気になりません。

参考までに、最近のワイヤレスイヤホンのトレンドにトランスペアレンシーモードがあります。外界の音を逆にマイクで拾うモードで、外の音とミックスして出力する周囲音取り込み機能などを搭載する機種も出てきています。完全ワイヤレスイヤホンでは「The Dash」が対応しています。

音質比較(vs Sony MDR-EX90SL)

良い機会なので、久しぶりに先述のソニー「EX90SL」を引っ張り出して比較してみました。EX90の方が遮音性能は高い分中域から低域はしっかり出ていますが、高域を中心にした音の切れや抜けはAirPodsに軍配があがる印象。

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Stingの「57th & 9th」から「I Can’t Stop Thinking About you」。イントロから歌に入るまでの、四つ打ちシンバルやタンバリンの余韻、スネアのタイトさ、コーラスとリバーブのかかったギターアルペジオの鳴りはAirPodsの方が上。バスドラやSting自ら弾くベースの存在感、同じ音量でのパワーはEX90SLに軍配をあげますが、装着感含め聞き疲れしないのはAirPodsかも。

堀込泰行「One」から「New Day」。AirPodではEX90SLで感じられるうねるベースラインとスネアの力強さ、ホーンのしっとりとした柔らかさが薄れてしまう印象。こちらの曲でも解像感と開放感はAirPodsの方が上です。

Eric Johnson「EJ」から「Mrs. Robinson」。アコギ1本のソロ曲ですが、同じ音量の場合のパワーはEX90SLの方が断然上ですが、適度に音量を上げた場合の音の拡がりはAirPodの方が気持ち良いです。低音弦のベースの動きはEX90SLの方が追いやすいです。

山弦「ゴールデンベスト」から「Joy Ride」。日本を代表する名ギタリスト、佐橋佳幸と小倉博和二人のユニット。バンドサウンドに乗ってキレの良いのギターカッティングと流れるようなメロディーライン、アコギ2台のハーモニーやタイム感に溢れたソロを終始楽しめます。バンドサウンドは少々引っ込みますが、ピッキング中心のアタックの強いアコギワークは高域の解像度が高いAirPodsの方が聞き取りやすいですね。

いずれも聴き比べて初めてわかるようなことですし、慣れてしまえば気にならないレベル。低音が足りなかったり高音がきついと感じる場合は、イコライザなどを活用して調整すればある程度は補えるはずです。

余談ですが、AirPodsの音質チェックを通じて、改めてEX90SLの素晴らしさも再認識できました。(松尾さん、ありがとうございます。)

動画の音声遅延について

動画などのでの遅延ですが、iOS用の動画再生アプリでニュース、バラエティやドラマを視聴してみましたが、ほとんど気にならないレベル。喋りの多い著名なユーチューバーのレビュー動画やAbama TVでも確認しましたが、音声遅延はほとんど無くストレス無く楽しめました。

音楽ライブなどではVinnie MooreやGuthrie Govanのような超絶ギタリストの恐ろしいまでに速いパッセージで若干の遅延を感じる程度。歌モノならほとんど気になりません。

YoutubeにBluetooth音声遅延テスト動画があったので試してみましたが、ステレオ・モノラルともに、ほとんど遅延は感じられませんでした。

Garagebandのような音楽制作やDJアプリでも、キーボードやギターの反応は良好で、スクラッチ操作なども特にストレス感じませんでした。

ゲームは「Super Mario Run」で検証して見ましたが、効果音が遅れて聞こえるようなこともなく、快適にプレイできました。「ポケモンGo」でも全く問題なし。遅延云々よりも周囲の環境音を消さずにプレイできる点が魅力です。

競合製品との比較を交えたAirPodsに関する所感

完全ワイヤレスイヤホンの弱点は音の途切れと遅延です。一般的には左右どちらかのイヤホンがマスターになり、もう一方がスレーブになるTWS技術を採用しているものが大半です。

Earinの場合は左、Aria Oneの場合は右がマスターになっています。このマスターが音源となるiPhoneとBluetooth接続され、自らが左または右のモノラルを再生しながら同時にもう一方のチャンネルの音をスレーブに送信しています。

マスター側はスレーブ側の出力に合うように出力するタイミングを調整するため、若干ですが音源側の実際の出力よりもタイミングが遅れてイヤホンに出力されています。

音源とマスター、マスターとスレーブ、2つの通信が同時並行で行われるのが一般的な完全ワイヤレスイヤホンです。

よって、何らかの要因で音源とマスターの間の通信が途切れるとほとなくスレーブ側も途切れが発生し、同じく何らかの要因でマスターとスレーブ間の通信が途切れると、マスター側にしか音楽が出力されない事態に陥ります。

Bluetooth通信の途切れの原因は水であると言われています。左右のイヤホンの間に水など無いと思うかもしれませんが、水が7体の7割を占める人間、そう自分自身の体が原因になることが最も多いのです。

例えば、左のヒップポケットにスマホを入れた時、右耳に装着したワイヤレスイヤホンとの直線距離の間には自分の体があることは容易に確認できるはずです。

マスターとスレーブの通信の途絶は製品が採用するアンテナの性能によるところも大きいため、はっきりとした原因の特定は難しいですが、この通信途絶の有無やその頻度が完全ワイヤレスイヤホンの快適性を左右するのは間違いありません。

どんなに機能や音質に優れていたとしても、途絶が多いと、集中やリラックスが目的の音楽を聴く行為そのものがストレスになってしまいます。

ちなみに、EarinやAria Oneの場合はスレーブが落ちた場合、復帰するまで時間がかかったり、場合によっては一度電源をオフ(Earinの場合はケースに収納)する必要が出てきます。

ところが、AirPodsでは使い始めてからこれまでの間、通信が途絶したことは片手で数えるほどもありません。先述のようにWatchのソースを再生した時に一瞬途切れたぐらいです。もちろん、使い方は他の完全ワイヤレスイヤホンと何一つ変わりません。

このずば抜けた安定感は、他ではなかなか味わえません。

音質の差だけで優劣をつけるのが難しいのが完全ワイヤレスイヤホンであり、それがあるから面白いと自分は感じています。

AirPodsの優れた機能は、Apple製品と組み合わせた時に最大限に発揮されます。しかも、増えれば増えるほど利便性が高まります。

一方で、AndroidやWindows関連製品と組み合わせた場合は、逆に凡庸で使い勝手の悪いワイヤレスオーディオ製品でしかありません。

ただ、Apple的にはそれで良いのだと思います。Macを買った人がiPhoneを、iPhoneを買った人がApple WatchやiPadを買うというApple製品エコシステムの創出が顧客の囲い込みに重要であり、そのための戦略商品なのですから。

複数のデバイス間でシームレスにデータを共有できるiCloudのようなサービスは対応スマートフォンを含め、GoogleやMicrosoftも提供していますが、AirPodsのようなストレスフリーのワイヤレスペリフェラル製品まではさすがに提供できていません。

Bluetoothオーディオの世界では相当先んじていたSonyは、先日のCESでようやく完全ワイヤレスイヤホンのプロトタイプを展示したばかり。スマートフォンだけでなく、テレビでもGoogleと密な関係にあるSonyですら、ここまで使い勝手の良いワイヤレスオーディオ製品は出せていません。ヒアラブル機器を名乗る「Xperia Ear」とオーディオ製品である「AirPods」を比較するのも野暮というものです。

とは言え、AirPodsばかりをべた褒めしてするつもりはありません。正直、AirPodsのデザインは個人的には好きではありません。開放型の素晴らしさは再認識しましたが、密閉型は密閉型のメリットもありますから。

Apple製品と組み合わせて使うという前提にはなりますが、最もAirPodsのライバルに近い位置にいるのはAppleが買収したBeats社のBluetoothイヤホン「Beats X」でしょう。

AirPodsと同じW1チップ搭載ネックバンドタイプのBluetoothステレオイヤホンで、完全ワイヤレスではないですが、AirPodsよりも価格2000円安価で販売されます。

完全ワイヤレスイヤホンような落下リスクは少なくなりますし、AirPodsがどれだけ優秀でも左右が繋がっているBeatsXにはドロップアウトのリスクもありません。満充電で8時間のバッテリーライフ、5分充電で2時間再生、Class1サポートなど、AirPodsよりも優れた性能も見逃せません。

逆に考えれば、今後AppleがW1チップを他者にライセンスすれば、AirPodsやBeatsX同等の機能を実装したワイヤレスオーディオの登場が期待できることになります。DockコネクタやLightningのように、W1もMFiの一つに加えてくれれば、3rdパーティーは純粋に音質を突き詰められることにもなるわけなので、多様性も期待できると思うのですが、Appleがそこまでのことをやるかどうかは全くもってわかりません。他社製品とBeats製品の差別化を考えたら、ライセンスしない方が得策っちゃ得策ですかね…。

ともあれ、これを読んでいるあなたが、たった1台のiPhoneオーナーなのであればAirPodsはマストではないですが、それ以外に推奨デバイスのiPadまたはMacをお持ちなら自信を持ってAirPodsをお勧めします。

仮にたった1台のiPhoneオーナーでもApple Watchがそこに加わるだけで、AirPodsの活用の幅が一気に広がります。WatchがあればiPhoneやAirPodsに触れることなく音量調整や曲操作が可能になるほか、GPS搭載のWatch 2ならiPhone無しでジョギングやランニングの記録ができますし、そこにAirPodsが加わればケーブルの擦れ音などに悩まされることなく、音楽を聴きながらワークアウトが楽しめます。

AirPodsの登場を契機に、完全ワイヤレスイヤホンが2017年のオーディオ業界の注目トレンドになることは間違いありません。今後は、AirPodsを研究し尽くした上で、老舗のオーディオメーカーや国内外のベンチャーがAirPodsの使い勝手を上回る完全ワイヤレスオーディオ製品を世に送り出してくるれることを期待しつつ、AirPodsレビューを終わりたいと思います。

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